「鏡ノ中ノ檻(カガミノナカノオリ)

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【1番】
割れた鏡の裏に 誰かの瞳が光る
笑い声と泣き声 どちらも私の声
赤い靴のまま逃げて 階段が逆さまになる
踏み外せば またここへ 戻るだけなんて…

さよなら 夜に溺れた私
夢の残骸(のこり)が這いずる部屋で
見えない手に引かれて 踊る
ここは終わらない目覚めの牢(ろう)

叫んでも 届かない
鏡の中 もう一人の私
ねぇ、嘘つき? それとも君?
嗤(わら)ってるのは どっち?

【2番】
カーテンの奥 濡れた指先がのぞく
時計の針が逆に 思い出を削ってく
名前を呼ばれて気づく その声、
知らないはずなのに
心だけが 懐かしがる 狂気の子守唄

さよなら 朝を忘れた私
眠りながら 生きてるふりをして
触れたら 消えてしまいそうな
透明な涙 落ちてく檻

笑っても 壊れてく
鏡の中 止まらないリフレイン
ねぇ、本当は 気づいてた
目を逸らしてたのは 私…

【3番】
冷たい水が胸を満たしてく
誰もいないバスタブ 誰かが沈んでる
ドアの向こうで微笑む顔
それは、私の、知らない顔

さよなら 過去を抱いたまま
記憶の檻に鍵をかけた
でも夢が その錠(じょう)を壊すの
また、あの声が呼ぶ――

逃げても 逃げても
鏡の奥 繋がる終末(おわり)
ねぇ、私を 壊したのは
誰? 誰? 誰なの――?

【4番】
最後の灯(ひ)を飲み込む影が私の
形に変わって笑う
扉が閉まるその瞬間に
私の中の「私」が、目を覚ます

さよなら 夜に溺れた私
夢の残骸が まだ、這いずる
見えない手に引かれて 踊る
ここは終わらない目覚めの牢――

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