【特別寄稿】稼働が低迷するぱちんこ遊技機問題と今後の期待されるスペック(WEB版)/鈴木政博
ここ数年、スマスロの登場により稼働が下支えされた感のあるパチスロと比較し、特に昨年からパチンコの稼働低迷が顕著となり業界内でも重要課題となりつつある。今回は、パチンコ低迷の問題点や業界の取り組み、今後のぱちんこ遊技機に求められるスペックについて考えてみたい。
1.各遊技機メーカーの取り組みについて
2024年3月4日より導入が開始されたLT機。昨年の令和7年7月7日より、その第三弾となる「LT3.0プラス」機が登場し一時的な盛り上がりは見せたものの、パチンコが息を吹き返したとまでは言えない状況が続いている。一部の高射幸機には注目が集まったものの、逆にその行き過ぎた射幸性には一定の自主規制が必要だとの判断から、今年2026年1月以降の型式試験持ち込み分より日工組内規による計算方法が改正されたことは以前に触れた通りだ。 (【特別寄稿】いわゆる「牙狼12規制」と今後のぱちんこ遊技機/鈴木政博)
ぱちんこ遊技機メーカーの集まりである日工組においても現在、稼働低下が続く現状は問題視しており、いくつかの部会が動き出している。一つはいわゆる第二種と呼ばれる「ハネモノ」への取り組みであり、もう一つはいわゆる第一種の中でも「中・低射幸」遊技機への取り組みだ。
ハネモノについては、昨年1月20日より導入が開始されたミズホ製「Pハネモノ ファミリースタジアム」や、10月20日に導入されたマルホン製「Pはねものファインプレー」などが注目された。今年1月5日にはSANKYOがパチンコ市場の活性化とファン層拡大を目指し、新プロジェクト「KUGITAMA(クギタマ)」を導入すると発表。今年夏頃を目途に、レトロな羽根モノ機を中心に「釘と玉」の魅力を体感できる遊技スペースと、カフェスペースを組み合わせた体験型店舗をオープン予定で、パチンコ未経験者や若年層でも気軽に訪れられる空間を目指す。また今年秋頃には、パチンコの原点である「釘と玉」に焦点を当てた羽根モノ機の新台を開発するとともに、ホール向け月額2万円の低価格レンタルプランを導入するとした。ハネモノについては「遊技くぎ」の整備に対する問題が拭えないとされてきたが、一昨年8月には「技術上の規格解釈基準について(通知)」の改正により、設定による「ラウンド振り分け」の変更が認められるなど、その点についても前進が見られる。(特別寄稿】ボーナストリガー・設定付きぱちんこ確変・Bluetooth…「技術上の規格解釈基準」改正を徹底解説!(WEB版)/鈴木政博)
また稼働低迷が著しい「甘デジ」コーナーを筆頭に「低・中射幸帯」についても日工組内では部会が発足しており、その対策が練られている。低迷の要因とされているのは、一つは「LT機の登場と初当たり確率帯による射幸度の分かりにくさ」がある。甘デジコーナーで遊んでいた、「海物語Withアグネス」シリーズなどを好む高齢層を中心としたユーザー層からは、LT機の登場により「最近の甘デジは全然遊べない、勝てない」という声が噴出していたと聞く。これは、実際には高射幸LT機でありながら、初当たり確率が1/99~1/190のぱちんこ遊技機が導入され、それらが「ライト・バラエティコーナー」に設置されていた店も多いという要因がある。いくら初当たり確率が100分の1台であっても、20%~25%程度しかRUSHに入らないものであれば、パチンコに詳しくないユーザー層としては「最近の甘デジは全く遊べない」という印象になるのもうなずける。この点に関しては、初当たり確率だけではない「低・中射幸帯」の基準作りが必要とされ議論が進んでいるようだ。
2.回らない問題と「デカヘソ」「コテスタ」について
パチンコユーザーが不満として挙げる筆頭は「とにかく回らない」だ。この問題への対策としては一昨年2024年7月8日に登場した藤商事製「P貞子」や、次いで8月5日に登場したSANKYO製「eF機動戦士ガンダムユニコーン-白き一角獣と黒き獅子-」のヒットがきっかけとなり「デカヘソ」というジャンルが定着化し、昨年は各社から「デカヘソ」仕様の機種が多数発売された。また今年1月5日にはサンセイアールアンドディ製「eようこそ実力至上主義の教室へ」が登場。さらに進化した「コテスタ」についても、今後は「コテスタ+設定付き」が注目されるとの視点から各社が研究開発を急いでいると聞く。
また前述した高射幸性ぱちんこ遊技機について言えば、ファンから「さすがにCHANCEがもらえるのは1/900とか、LTに入るのは1/1800とか言われると、もう日常的に打つのはムリ」という意見が増えるのもうなずける。一方で初当たり確率についても、P機時代は1/319までであったのがスマパチとなって1/349となり、さらにはLT機の登場でその図柄揃い確率は「1/399」「1/499」と変化してきた。こちらについてもファンからは「1/399とか1/499とか言われると、せめてデカヘソじゃないと打っていられない」という声も聞かれるようになってきた。若年層においては、パチンコを「パチスロで負けが込んだ夕方以降に一発逆転で打つもの」ととらえるファンも多い。やはり「日常的に打てる」射幸帯の充実がファンを戻すには必須と言えそうだ。
3.今後求められる「打てるし、勝てるかも」もあるスペックは?
では、今後求められるスペックはどのようなものがあるか。一つのヒントになりそうなのは、高稼働を維持して増台もされている藤商事製「e女神のカフェテラス」だ。このスペックが支持されている要因を見てみると、まずは初当たり図柄揃い確率だ。こちらは「1/399」と若干重めである一方で「デカヘソ」を採用している。遊技者目線でいえば、デカヘソであれば、実際に倍回るわけではないとしても、感覚としては1/199程度の体感で打つことができる。一方で図柄揃いからのLT突入率も絶妙で、その割合は「40%」となっている。本来であれば50%あればとは思うものの、30%や33%とは違い、40%は「何とかヤレる」感が持てるギリギリのラインだ。こうした「1/300~1/400あたりの確率帯」で「デカヘソ仕様」、そして突入率も「40%以上」あるスペックで、しかも突入すればLTであるとなれば、ファンとしても「日常的に打てる」だけでなく「勝てるかも」という期待感も併せ持つことができるだろう。
直近で言えば、例えば7月に導入予定のディ・ライト製「e虚構推理」などがそれにあたる。初当たり確率は約1/319ながら「デカヘソ」仕様で、ライトミドル帯の体感で打てそうだ。また突入率に関しても、初当たりの50.5%と半分以上は「時短36回+残保留4個」となって継続率60%の状態へ移行し、ここでの大当たりは50%が「琴子のご褒美RUSH」というLTに突入するという、一定のヤレる感がある。また初当たりの残り49.5%も「非電サポ状態」で左打ちではあるものの、20回転限定で「裏モード」状態となっており、もしここで当たれば直接「裏ご褒美RUSH」というLT状態へ移行する仕様だ。20回転限定とはいえ、もし当たればLT直行だけに即ヤメはできない状態で、その点では一定の稼働も見込める。
RUSH中の仕組みも楽しそうだ。「お願い玉」4個を持ってスタートし、リーチになると大当たり期待度は約26%だが、ハズレると消費する。RUSHは「お願い玉」が無くなるまで継続する一方で、その状態により2個以下で当たれば1,500個だが3個以上持っていれば3,000個大当たりになるなど出玉が変動する。なお「裏ご褒美RUSH」では「お願い玉」4個が固定となり出玉も「3,000個」or「4,500個+α」となる。これらの仕様は「LT3.0プラス」の「プラス」部分に加え特図2にc時短も搭載した仕様だと考えられる。
2026年夏から2027年にかけては、業界を挙げて「パチンコ稼働の下支え」に取り組む一年になりそうだ。「ハネモノ」「低・中射幸機」「デカヘソ・コテスタ機」などのラインナップが豊富に出揃い、パチンココーナーのファンが増加することに期待したい。
■プロフィール
鈴木 政博
≪遊技産業研究所代表取締役・遊技日本発行人≫
立命館大学産業社会学部卒業後、ホール経営企業管理部、遊技コンサル会社を経て2002年に㈱遊技産業研究所に入社。遊技機の開発アドバイザー、新機種情報収集及び分析を中心に活動し、TV出演・雑誌掲載など多数。2021年7月より業界誌「遊技日本」発行人を兼務。
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