【寄稿】悠長なことは言ってられないかも(WEB版)/POKKA吉田
広告宣伝で是正勧告を行った事例(第6集)が発出された。既にホール関係者及び広告宣伝業者関係者は目を通したことだと思う。
是正勧告集に限らず、改訂ガイドラインや質疑書、それらに付随するさまざまな発出文書、あるいは遊技産業健全化推進機構を巻き込む形でのさまざまな連絡文書等、これらのすべての文書発出は、広告宣伝ガイドラインの遵守徹底を図るためにホール4団体がやっていることである。
本来、広告宣伝ガイドライン遵守が徹底されていれば、是正勧告される店舗は存在しないはずだ。しかし実際には広告宣伝ガイドラインの解釈の違いなどで、当該ホールや広告宣伝業者はセーフだと思っても是正勧告されてしまったケースは普通にある。その意味では、是正勧告が0件になるということはなくてもいい。
しかし第6集までの是正勧告集に掲載されている内容を通読すればわかることだが、はじめからこのような広告宣伝はガイドライン違反が明らか、というものがかなり多い。要は確信犯的なガイドライン違反による是正勧告ということになり、これは警察庁から見ると問題がかなり大きいものとなる。
現状、広告宣伝ガイドラインの運用は、ガイドライン違反が疑われる広告宣伝について通報で集まったものを、広告宣伝ガイドライン違反かどうかの判断をして、違反と判断されたものについて是正勧告することとなっている。是正勧告された店舗は当該広告宣伝について勧告に応じて是正すれば、営業停止命令等の行政処分が打たれない。警察庁が広告宣伝ガイドラインの枠組みを認めた段階で、警察本部ごとに行政処分するかしないかを判断していたのを事実上警察庁だけが判断するようにしたため、「是正勧告されたら是正すれば行政処分を打たれない」ということが、確信犯的ホール営業者の間に浸透してしまっているということが言える。
特に問題なのは、昨年に是正勧告の件数が急増した点だ。広告宣伝ガイドラインの運用は2023年からスタートしたが、2023年と2024年は「一日に1件未満」のペースでの是正勧告件数だった。しかし2025年は「一日に2~3件」のペースでの是正勧告件数となっている。2023年2024年と比較すると2025年は是正勧告件数が3倍増だ。しかもこの是正勧告件数ペースは2026年に入ってからも引き続き一日に2~3件ペースとなっているのだ。
このような状況が続けばどうなるか。警察庁がどこまで辛抱するかによって変わるし、保安課長の心証は目に見えないので知る由もないが、かなり際どいところに現状いることは理解できるだろう。
昨年12月1日から是正勧告の方法について、当該店舗担当者への文書通知及び当該法人経営者へ文書通知、さらに遊技産業健全化推進機構による意見聴取も匂わせるということとなった。こういったことを続けて「ホール4団体としても広告宣伝ガイドラインの遵守状況を改善するために努力している」と警察庁にアピールしているわけだ。
だが、12月から始まった是正勧告方法の変更でも是正勧告件数のペースは抑えられていない。2026年に入ってからの1~2月の是正勧告件数は159件である。
今回の是正勧告集第6集は昨年の7月から12月までの事例だ。こういった広告宣伝は是正勧告されるという例示をすることによって、同じような広告宣伝をしないようにするために発出している文書だと理解したいところだが、第6集まで発出したところで、確信犯的な是正勧告を受ける店舗がなくならない。そしてそのことは警察庁としてもわかっているわけだ。
警察庁生活安全局保安課の保坂啓介課長は昨年の10月に保安課長となった。それまでぱちんこ業界所管の経験はないようであり、一から業界の実態を知っていくことから始めているはずだ。その一環として2023年から警察庁も協力する形でホール4団体の広告宣伝ガイドラインという枠組みも理解したはずである。その枠組みにおける是正勧告件数が2025年に急に3倍増となったのは事実なのだが、普通の人なら「今年、ぱちんこ業界の広告宣伝について、何かおかしいことがあったように見える」はずなのだ。それが昨年の10月のことであり、是正勧告件数のペースはそこから落ちていない。というか、もっと言うと昨年2025年の是正勧告件数は前半の1月から6月までよりも後半の7月から12月までの方が多いのである。
警察庁は業界所管について、優先順位としては「依存防止対策」が一位、二位が広告宣伝ガイドライン遵守徹底だ。これは警察庁の課長や課長補佐による3つの講話の順序でわかること。3つの講話とは、講話内容がテキスト化され業界中に配布される全日遊連全国理事会の課長講話(1月)、日遊協総会の課長講話(6月)、余暇進秋季セミナーの課長補佐講話(11月)のこと。そして昨年の余暇進秋季セミナーの課長補佐講話で依存防止対策が最初に言及されるようになった。
しかし警察庁が依存防止対策を最優先にしているのは業界事情とは無関係の話だ。2030年に大阪IRが開業予定となっている点、昨年のオンラインカジノ騒動で社会問題化し誘導行為を抑制するためにギャンブル等依存症対策基本法を改正した点、来年には残り2枠となっているIR区域整備計画申請が始まる点、などを考慮してのものである。単純にぱちんこ業界については、相変わらず広告宣伝ガイドライン遵守関連が最も重要であることに変わりはない。
現状の遵守状況を是正勧告状況で判断すれば、確信犯的ホールに警察は舐められいてると評価されてもおかしくはない。是正勧告されても営業停止にならないのだから、言わばやったもの勝ちでもある。
こういった状況を警察庁は全部わかっている。今はまだ辛抱しているのかもしれないが、どこかに閾値があって、それを超えると何が起こるかわからない。広告宣伝ガイドラインの枠組みがなくなってしまうくらいなら下手すればまだマシで、警察庁によるぱちんこ業界所管を原則厳格化に切り替えるまであり得るというのが私の最大の懸念なのだ。
警察庁の閾値を超えるまでは現状は維持されるだろう。ホール4団体は、その施策が奏功しているように見えないけれど、昨年12月の是正勧告方法の変更など、やってる感を出せる施策をコマ切れで出し続ける。是正勧告集第6集はそもそも予定通りではあるが、今年の3月以降の是正勧告件数のペースが落ちていなければ、これらでは足りない。さらに何かしらの施策を打って、文書発出となっていくことだろう。
広告宣伝ガイドラインの是正勧告件数が、ガイドラインの枠組みスタート以来「最も多い状況がずっと続いている」ということは、ホール関係者は知っておかなければならない。
■プロフィール
POKKA吉田
本名/岡崎徹
大阪出身。
業界紙に5年在籍後、上京してスロバラ運営など。
2004年3月フリーへ。
各誌連載、講演、TV出演など。
お問い合わせ等は公式HP「POKKA吉田のピー・ドット・ジェイピー(www.y-pokka.jp)」か本誌編集部まで。
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