【コラム】遊技デザイン考「第1回 私と遊技デザイン」(WEB版)/サイバーおかん

はじめまして。サイバーおかんです(*´▽`*)

私は『サイバーおかん』という少し変わった名前でアーティスト表現活動をしております。その活動の表でも裏でも、遊技業界と長い関わりを持ってまいりました。

高校を卒業してデザイン専門学校に入ったものの1日で辞め、毎日大阪千日前のホールに通い気がつけば5~6年の月日が経っていました(笑)。ある日パチスロを打っている最中に「このままでは一生千日前にいることになる…」と気がつき、大阪のデザイン会社に入り見習いデザイナーに。1年ほど経った頃、パチスロ(確かブラックジャック777)を打っている最中に「この図柄をデザインしている人がいるんや!」とふと気がついたのです。帰宅後すぐに調べているとT社という遊技機メーカーがヒットし、デザイナーの募集はしていなかったのですが問い合わせ先からメールを送りました。すぐに返事があり、面談があり採用となりました。(トントン拍子すぎる!)

T社に入社後は、パチスロ開発部のデザイン部に配属になり、10年ほど図柄やパネルといったデザイン制作に携わっていました。パチンコ開発部や機構ハード、その他の部署にはグラフィック系のデザイナーがいなかったので、あちこちに駆り出されて幅広くデザインをさせていただきました。パチンコ・パチスロのデザインは、映像や筐体LEDランプ、図柄など複合的に関わり合って一体の完成形となるため、複雑で面白くやりがいのある仕事です。

現在は『サイバーおかん』としての活動を通じて、パチンコ・パチスロ文化の新しい見せ方を模索している一方で、現在もデザイナーとして遊技業界のデザイン制作も続けています。

このコラムではこれまでの経験をもとに、遊技機デザインや、ホール、最近の業界における広告宣伝といった幅広い“遊技空間”“遊技環境”における様々なデザインについて、書いていけたらと思います。

パチンコやパチスロのデザインというと、まず思い浮かぶのは図柄やキャラクター、筐体の派手な装飾かもしれません。ですが実際には、それらはすべて「見た目のかっこよさ」だけで作られているわけではありません。そこには、遊技機としてのルールや、遊ぶ環境に適応するための設計が存在しています。

パチンコ・パチスロ機が風営法に基づき、不正な出玉性能や射倖心の激しい煽りなどがないかを検査(型式試験)し、適合した機種のみが検定を受け、通過した台がホールに設置できることとなるのはご存知の方も多いでしょう。そしてデザインに関しても基準が定められています。

例えば、パチスロの図柄では、遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の回胴(パチスロ)の構造に関する規格として、「図柄の大きさは、縦25mm以上、横35mm以上であること」「図柄は、鮮明であり、かつ、遊技者に識別しやすいものであること」とあります。(他にもまだあります)

一見当たり前のように思えるかもしれませんが、これらの条件は、実際のデザインに大きく影響します。

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縦25mm以上、横35mm以上でデザインされている一例。特にミニリールの図柄は小さくギリギリを攻めている。

ホール内は強い照明に加え、周囲の遊技機も常に光や映像を発しています。その中で回転するリールの図柄を一瞬で認識させるためには、線は太く、色ははっきりとしたコントラストで構成する必要があります。つまり図柄は単なる装飾ではなく、環境の中で機能するためのデザインでもあるのです。

さらにパチスロの場合、図柄はリール上に配置されるため、好きなように並べられるわけではありません。停止制御や配列のルールを踏まえた上で、視認性や意味性を保ちながら構成する必要があります。デザイナーは見た目だけでなく、そうした制約の中で「成立する図柄」を制作していきます。

こうして見ると、普段何気なく見ている図柄ひとつにも、遊技機としてのルールと、それを乗り越えるための工夫が詰まっていることが分かります。パチンコ・パチスロは派手で直感的なエンターテインメントである一方で、その裏側には非常にロジカルなデザインが存在しています。

そしてこの考え方は、図柄だけにとどまりません。筐体の光り方や音の鳴り方、ホールの装飾や空間の作り方に至るまで、すべてが「どうすれば人に伝わるか」「どうすれば印象に残るか」という設計の上に成り立っています。
遊技機とホールが一体となって生み出す体験は、いわばひとつの空間デザインであり、全体を通したエンターテインメントであります。そうした遊技全体のデザインについて、少しずつ紐解いていきたいと思います。

次回は、今回少し触れた「図柄デザイン」について、もう少し具体的に掘り下げていきます。なぜあの形なのか、なぜあの色なのか。普段は意識されにくい部分に目を向けることで、遊技の見え方も少し変わってくるかもしれません!

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■プロフィール
サイバーおかん
デザイナー/クリエイター。パチスロメーカーのデザイナーとして図柄やパネルデザインに約10年携わり、現在はフリーのデザイナーとして活動する傍ら、「サイバーおかん」としてDJやイベント出演、遊技文化を軸にした表現活動を行っている。

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