将を射んとすれば馬を射よへ逆転した接待の構図

かつてパチンコ業界には、人気機種を導入すればするほど儲かる、そんな良き時代があった。ホールオーナーにとって最重要課題はただ一つ、「いかにして人気機種を1台でも多く確保するか」。そのために、メーカーの営業マンは信頼関係を築き上げる対象であり、接待は当たり前の時代だった。その一方で、限られた販売台数を強引に入れさせるために、レアケースではあるが営業マンを「軟禁状態」で強硬手段に出るオーナーもいた。

特にトップ営業マンともなれば、オーナーからの扱いは別格だ。高級店での会食は当たり前、小遣い名目で現金が渡されることも珍しくなかった。中には、その小遣いを元手に「自分の店を持った」「ビルを建てた」などという、今では都市伝説のような逸話すら残っている。当時の営業マンは、それほどまでに“強い立場”にあった。

背景には、1機種で70万台以上が売れるという、今では考えられない市場環境があった。需要は旺盛で供給は限られ、完全な売り手市場。ホール側は「選ばれる側」であり、メーカーの顔色をうかがうのが常だった。

しかし、その光景は完全に過去のものとなった。現在では、1機種で2~3万台売れればヒットとされる。市場規模は縮小し、機械代の回収もままならないホールが増え、売り手と買い手の立場は完全に逆転した。

本来あるべき姿――メーカーがホールに「買ってもらうために」努力する時代が、皮肉なことに、ようやく訪れたのだ。

そして、その努力の象徴が接待である。ただし、かつてのようにオーナー本人だけを囲い込む手法は、もはや古い。最近では、オーナーの家族を含めた温泉旅行への招待などで、配偶者や子どもへの気配りが重視されるようになってきている。

将を射んとすれば馬を射よ――。大将を動かしたければ、その周囲から攻めよ、という古い兵法が、ここにきて妙にリアルさを帯びる。経営の最終判断を下すのはオーナー本人だとしても、その判断を後押しするのは家族の一言だったりする。メーカー営業が狙うのは、もはやオーナーの懐ではなく、その身内なのだ。

かつてはホールが営業マンを接待し、今は営業マンがホールを、いやホールの家族をもてなす。この接待の向きが逆転した事実こそが、現在のパチンコ業界の力関係を如実に物語っている。

生成AIの時代になっても最後は「人」と「人」の付き合いがモノを言う。それがパチンコ業界の伝統もある。 かつては「金」で営業マンを縛ったホールが、今は「情」と「家族」という絆でメーカーに縛られる。形を変えながら繰り返されるこの接待の変化は、パチンコ業界が抱える泥臭くさい、生存競争とも言える。

人気ブログランキングへあなたのポチっ♪が業界を変える

※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。匿名は承認しません。コメントがエントリーになる場合もあります。

🔗 元記事を読む(パチンコ日報)