イチゴ農家買収に動くホール企業。新規事業はM&Aか自前か

栃木県内のイチゴ農家に対し、とあるホール企業が買収を打診していたことが分かった。農家側は跡継ぎ問題を抱えており、将来を見据えれば話し合いのテーブルに乗る余地はあった。しかし、提示された条件面で折り合いがつかず、現時点では成立していない。ただし完全な破談ではなく、双方とも検討の余地を残しているという。

ホール企業の狙いは明確だ。パチンコ事業に依存しない新規事業の柱づくりである。その中でイチゴ農家に目を付けたのは、収益性の高さが理由だ。

イチゴは果物の中でも人気が高く、観光型のイチゴ狩り、ショートケーキやパフェといったスイーツ需要など、用途が幅広い。さらにブランド品種になれば高値で取引されることも珍しくない。安定した需要が見込める作物として、近年は企業の農業参入でも注目されている分野だ。

新規事業に参入する場合、一般的に最も手っ取り早いのはM&Aだ。すでにノウハウを持つ事業体を買収すれば、時間をかけずに事業を立ち上げることができる。逆にゼロから自前で始めれば、ノウハウの蓄積に長い時間がかかり、試行錯誤の連続になる。

その典型例が、あるホール企業が約15年前に農業法人を設立し、第一次産業へ参入したケースだ。イチゴ栽培を始めたものの、商品として出荷できるまでには5~6年の歳月を要した。

当初は県の農業関連機関から指導を受けたり、イチゴ農家を訪ねて栽培方法を学んだりしたが、実際の栽培は想像以上に難しい。素人集団が始めた農業は失敗の連続だったという。

「安全で安心なものを提供するため、農薬を使わない栽培を目指しました。最初は完全に素人で、ゼロからのスタート。大変でしたが、続けていくうちに工夫が生まれました」と同社関係者は振り返る。

初期にはイチゴと並行してベビーリーフも栽培していた。しかし葉物は農薬を使わないと害虫の被害を受けやすい。ベビーリーフの害虫がイチゴにまで広がるようになり、ベビーリーフの栽培は中止。その後、ベビーリーフは青汁として商品化された。

3年目以降は無農薬栽培の確立を目指したものの、収穫量が伸びず、事業としては厳しい状態が続いた。それでも土壌環境が整い始め、手応えが見え始めたころ、転機が訪れる。無農薬イチゴ栽培の経験者を外部から招聘し、第2ラウンドが始まったのだ。



自然を相手にする農業では、虫や病気を完全に排除することはできない。そこで重要になるのが、土壌の微生物環境だ。乳酸菌などの善玉菌を活用し、悪玉菌の増殖を抑えることで植物が育ちやすい環境を整える。いわば自然を敵にするのではなく、味方にする農法である。

当初2トン程度だった年間収穫量は、こうした取り組みの成果で4トンにまで倍増した。ハウスの数は増やしていない。苗の植え付け間隔や肥料バランス、葉の状態を日々管理することで収穫量を高めた。

現在は「紅ほっぺ」と「かなみ姫」の2品種を栽培している。無農薬栽培のため洗わずに食べられる安全性が特徴で、甘みと酸味のバランスも良い。さらに傷みにくく日持ちする点も強みだ。

一般的なイチゴは輸送中の傷みを防ぐため、やや青い状態で出荷されることが多い。しかしこの農園では「完熟」をキーワードに、市場を通さず地元のスーパーやショッピングモールへ直接出荷している。

こうした成功例を見ると、自前で農業を立ち上げることも決して不可能ではない。しかし、そこに至るまでには5年近い時間と試行錯誤が必要だった。

だからこそ、今ホール企業が農業参入を考えるなら、最初からノウハウを持つ農家をM&Aで取り込むという選択肢が現実味を帯びる。時間を買うか、それとも自前で経験を積むか。パチンコ業界の新規事業は、まさにその分岐点に立っている。

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🔗 元記事を読む(パチンコ日報)