【コラム】遊技デザイン考「第2回 図柄は自由にデザインできない?」(WEB版)/サイバーおかん

パチスロ図柄のルールと設計

こんにちは! サイバーおかんです。

今回は皆様がいつも打っているときに必ず眺めている、セブンやBAR、小役たち! あの図柄デザインについて紐解いていきたいと思います。

デザインとは、決められたルールの中で成立させるものです。パチスロにおいても図柄の大きさや配置、構造といった様々な条件があり、その中でグラフィックや筐体デザインが絡み合いながら、ひとつの遊技機として完成していきます。

図柄は自由にデザインされているように見えるかもしれませんが、実際には、様々なルールや構造上の制約が存在しています。

前回も少し触れましたが、パチスロの図柄には「縦25mm以上、横35mm以上」といった最小サイズの規定があります。また「鮮明であり、かつ、遊技者に識別しやすいこと」といった条件も定められています。

ですが面白いのは、図柄には最小サイズの規定はあるものの、「最大サイズ」の規定は特に存在しないという点です。

しかし…実際の各メーカーの機種を見ると、図柄の大きさはどれも似たようなサイズ感に収まっています。これは単なる偶然ではなく、遊技機の構造やホールでの運用環境が大きく関係しているのです。

遊技機はホール設備に設置されることを前提に、日電協のガイドラインに則って各メーカーほぼ近いサイズ感(高さ81cm、幅47.5cm、奥行き約40cm)で設計されています。そのため内部に収まるリールドラムのサイズ感も自然と近いものになり、図柄サイズも似た大きさへ収束していきます。

昔のセブン図柄がバランスの良い形だったのは、当時のドラムサイズに合わせてデザインされていたからです。

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2号機の図柄。リール窓が狭く縦に長い印象。まだ「7」らしい。

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15コマの図柄と21コマの図柄。アビリット「ハナマル学園奮闘記」「マリンパニック」。
縦に余裕があるので「7」らしい。21コマの図柄はどんどん横に伸びた形に進化していった。

しかし現在は、部品や機構設計の進化によって、筐体に収まるギリギリまでリールドラムを大きく取れるようになりました。その結果、図柄自体も大型化しましたが、筐体構造には奥行きの限界があります。

そこへ21コマ(例外もありますが)の図柄を収める必要があるため、現在のセブン図柄は、横に引き伸ばされたような独特の形へ進化していきました。これはパチスロ機の進化とともに、図柄デザインも独自の進化を遂げてきた結果とも言えます。

基本的には21コマのリールを使った配列が多いですが、遊技の設計によっては20コマや16コマ、15コマなど、コマ数が変更されることがあります。その場合、1コマあたりに使える縦方向の面積が大きくなるため、図柄も「縦長」にデザインにしやすくなります。すると、大胆な装飾やモチーフを入れやすくなり、図柄そのものの印象も大きく変わります。

また、通常の21コマ配列でも、ゲーム性に合わせて図柄を大きく見せる工夫は存在します。例えば、リール窓に見える3コマを「連続したひとつの絵」としてデザインすることで、実際以上に大きな図柄のようなインパクトを生み出す手法です。例えば、山佐の「カンフーレディ」の「チーパオ」図柄などは、1コマごとに分かれた図柄でありながら、停止時には大きく繋がった図柄のように見え、強い印象を与えていました。

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「カンフーレディ」のチーパオ図柄。3つの図柄でひとつのキャラクターに見える一例。
©YAMASA CO.,LTD.

ただし、こうした「繋がって見える図柄表現」は、時期によって扱いが変わることがあります。実際、私自身が開発に携わっていた頃には、図柄表現だけでなく、配当表の載せ方などについても慎重な時期がありました。明文化された規則だけでなく、試験運用や解釈によって注意すべきポイントが変化することもあり、メーカー側もリスクを避けながら設計を進める必要があります。

そのため、ある時期には多く使われていた表現が、一時的に業界全体で減っていくこともあります。逆に近年では、再びこうした繋がったように見える図柄表現を取り入れる機種も増えてきています。

限られた構造やルールの中で、どうすればより強い印象を生み出せるのか。そうした試行錯誤は、時代が変わっても続いているのです!

次回は、「図柄そのもののデザイン」について、さらに掘り下げていきます。なぜ太い線が多いのか。光らせ方など、普段何気なく見ている図柄にも、様々な意図が込められています。お楽しみに!

Points!
回胴式遊技機に係る技術上の規格
・図柄は、回胴回転装置の作動中においても、おおむね識別することができるものであること。
・図柄は、鮮明であり、かつ、遊技者に識別しやすいものであること。
・図柄の大きさは、縦25mm以上、横35mm以上であること。また、図柄の大きさは、図柄の種類に応じて、すべての回胴につき同一であること。
■プロフィール
サイバーおかん
デザイナー/クリエイター。パチスロメーカーのデザイナーとして図柄やパネルデザインに約10年携わり、現在はフリーのデザイナーとして活動する傍ら、「サイバーおかん」としてDJやイベント出演、遊技文化を軸にした表現活動を行っている。
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