ラジオCMに意味はあるのか? 出稿する真の理由

ラジオCMを流しているホール企業がある。そのCMを耳にした同業他社の社長が、「ウチでも検討してみるべきではないか」と経営会議に諮った。

さっそく費用を調べてみると、20秒CMで1本6万~10万円。さらに制作費として15万~50万円ほどが別途必要になる。

仮に1回6万円として、1日10回流せば60万円。これを1カ月続ければ、単純計算で1800万円になる。

営業部が猛反対したのも無理はない。

「60万円あれば新台が1台買える。1カ月分なら30台以上導入できる。それでラジオCMを流したからといって、直接稼働が上がるわけでもない」

現場感覚としては極めて真っ当な意見だった。

では、なぜホール企業はそこまでしてラジオCMを流すのか。

社長は当初、「リクルート対策ではないか」と考えた。しかし、今の大学生がAMラジオを日常的に聴いているわけではない。この仮説はすぐに崩れた。

そこで改めて、ラジオを誰が聴いているのかを考え直した。

すると見えてきたのが、トラック運転手、タクシードライバー、営業車のドライバー層だった。

つまり、長時間運転する人たちである。

そして、この層はパチンコの既存客とも重なる。

ラジオCMは新規客を爆発的に増やすための広告ではない。既存客の記憶から自店を消さないための「刷り込み装置」の役目がある。

パチンコには独特の行動特性がある。

「今日は打ちに行こう」と突然思い立つ。

その瞬間、頭の中に流れる店名やラジオから流れていたサウンドロゴが、自店を選ばせるきっかけになる。

つまりラジオCMとは、今すぐ来店を促す広告ではなく、「思い出してもらう」ための広告なのだ。

しかも、パチンコ業界はテレビCM規制が非常に厳しい。

開店告知や過度な射幸性表現は難しく、テレビでは自由に打ち出せない。その点、ラジオは地域を限定しながら、繰り返し店名を浸透させることができる。

テレビほど派手ではないが、地味に効く。

さらに、もう一つ見逃せない側面がある。

それは企業の信用力だ。ここが一番大きなポイント化も知れない。

キー局でCMを流すには、厳しい企業審査を通過しなければならない。反社会性や経営実態などをチェックされた上で、初めて放送枠を買える。

つまり、「キー局でCMを流している企業」という実績自体が、社会的信用になる。

新規出店時の土地交渉、金融機関からの融資、不動産オーナーとの契約――そうした場面で、「あのラジオCMの会社ですね」と認識される効果は意外に大きい。

結局、ラジオCMの本当の目的は、「新規客集客」でも「リクルート」でもない。

既存客を競合へ流出させないこと。

そして、「ちゃんとした会社」であることを社会へ示すこと。

巨額の電波料は、広告費というより、信用維持費なのかも知れない。

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🔗 元記事を読む(パチンコ日報)