パチンコ業界と飲食業界の明暗
キャバクラやホストクラブからラーメン屋、日本食レストランなど、飲食業界で50店舗以上を展開する企業を担当するコンサルがいる。彼のクライアントの中に、ただ1社だけホール企業があった。しかし、10年以上続いたその契約は先日打ち切られることとなった。
コンサルが指摘するのは、飲食業界とパチンコ業界の決定的な違いだ。飲食業界は、原材料費や人件費の高騰に対応するために価格を調整できる。ラーメン一杯の値段を数十円、場合によっては数百円上げることも可能だ。
一方、ホールはそうはいかない。物価高を理由に、貸し玉料金を勝手に引き上げることはできない。そこでホールが取る策は出玉の削減だ。しかし、これは客にとっては単なる改悪でしかなく、不満が募るばかりである。
「小売業や飲食業は、コスト増を価格に転嫁することができる。しかし、パチンコ業界にはそれができない。だから出玉を減らすしかないが、それでは客は納得しない。客が減る中で客単価を上げるのは逆効果だ。やるべきなのは客数を増やすことなのに、真逆のことをしている。こんな状況を続けていれば、業界の未来は危うい」
コンサルの指摘はもっともだ。ホールは商品を仕入れて販売する業種ではない。客が遊んだ結果、景品を獲得できるかどうかがすべてであり、一般的な商習慣が通用しない。にもかかわらず、コスト増のしわ寄せを客に負わせる形で営業を続けている。
一方で、コンサルの主戦場である飲食業界はどうだろうか。特に都心の店舗はインバウンド需要の追い風を受けて、売上が好調に推移している。特に中国人観光客が多い店舗では、その恩恵を強く受けているという。
コンサルはクライアントに対し、従業員の時給を200円アップするよう提案した。これはすぐに受け入れられ、さらには中国語が話せる従業員には特別手当も支給されることとなった。これにより、外国人観光客への対応力が向上し、より質の高い接客が可能となった。
しかし、人材確保の面では課題もある。ただ中国語が話せるだけの中国人従業員では、接客スキルが不十分な場合が多い。そこで彼らが求めたのは、中国語を話せる日本人従業員である。日本的な「おもてなし」の文化を持ちつつ、言語の壁を超えて接客ができる人材を確保することが目的だった。
また、接客のスタイルにも工夫がある。いきなり高額な料理を勧めるのではなく、比較的安価なメニューを薦めた上で、追加注文へとつなげる。この手法により、客の満足度を高めながら単価を上げることが可能となる。そして、その成功の裏には、歩合給を含めたインセンティブ制度がある。接客の質が売上に直結する仕組みを作ることで、従業員のモチベーションを維持し、さらに高い売上へとつなげているのだ。
結果として、中国人客ばかりになり日本人客が減るほどの盛況ぶりとなったが、それでも売上は10〜25%増加した。この増加分を人件費に充てることで、さらなる好循環を生んでいる。
こうした成功例を見ると、パチンコ業界の苦境がより際立つ。現在のホールは、集客に苦しむ中で客単価を上げる戦略に走っている。しかし、それは顧客離れを加速させるだけだ。
飲食業界のように、価格変更が可能でない以上、求められるのは別のアプローチである。例えば、客が納得できる形でのサービス向上や、遊技そのものの魅力を高める施策が必要だ。イベントやキャンペーンの工夫、接客の質の向上、あるいは新たな遊技体験の提供など、まだやれることは多いはずだ。
飲食業界はインバウンドの追い風を受けて活況を呈している。しかし、パチンコ業界は依然として蚊帳の外にある。このままでは、今後さらに厳しい状況に追い込まれることは避けられないだろう。果たして、業界はこの難局を乗り越えることができるのか。その鍵は、旧態依然とした戦略からの脱却にある。
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🔗 元記事を読む(パチンコ日報)