人材難時代、オーナーがたどり着いた答えは弁当屋をはじめること

清掃スタッフを外部から派遣してもらおうと見積もりを取ったところ、時給換算で1500円。その数字を見た瞬間、都内のあるホールオーナーは思わず腰を抜かした。

人手不足は聞いていたが、清掃という裏方業務ですらこの水準に達している現実を突きつけられ、人材難を改めて実感したのである。

では、ホールスタッフなら確保できるのかと言えば、そう簡単でもない。仕事の内容だけを見れば、清掃よりホールスタッフの方が楽に見えるかもしれない。しかし実際には、こちらも応募は少なく、定着もしにくい。

人を集めること自体が難しい時代に入った――オーナーはそう認識せざるを得なかった。

そこで発想を切り替えた。

「人が集まらないのなら、離職させないことに力を注ぐべきではないか」と考えたオーナーは、まず人員配置の見直しに着手した。

仮に10人で回しているホールを、オペレーション改善によって8人で回せるようにする。浮いた2人分の人件費を残りの9人に還元し、時給アップを図るという考え方だ。人数は減らすが、働く側の満足度は上げる。その方が長く働いてもらえると踏んだのである。

このオーナーの行動はそれだけにとどまらなかった。次に目を向けたのが、同じく人材確保が難しいとされる飲食業界だった。実際に店舗を回り、働いている女性たちに「なぜこの店で働いているのか」を聞いてみたところ、意外な共通点に気づく。「賄い付きだから」という答えが想像以上に多かったのだ。

一食分の食費が浮く。この一点が、働く側にとっては思いのほか大きい。

物価高騰が続く中、大企業が社食を充実させているのも同じ理屈だ。安く、手軽に美味しく、栄養バランスが取れている食事ができる環境は、従業員満足度を高め、結果として帰属意識を強める。離職率の低下にも直結する。

キーワードは「食事」だった。

とはいえ、店舗が点在しているため、社食を設けるほどの規模ではない。そこでオーナーが考えたのが、弁当の活用だった。

企業向けに弁当を配達している大手業者に、本社勤務の社員分を一定期間発注した。おかずは5~6品で、和・洋・中が日替わり。味も悪くなく、「これは続けてほしい」という声が自然と上がった。

この反応を見て、オーナーは一つの決断を下す。新規事業として「企業向け弁当屋」を立ち上げるという目標を掲げたのだ。

まずは1人の社員を弁当屋に送り込み、現場でノウハウを吸収させるところから始めた。

おかずはレトルト化し、日持ちさせる。電子レンジで温めるだけで、いつでも温かい弁当が食べられる仕組みを構想している。

しかし、考えてみればホールの2階に寮があった時代、賄い付きは当たり前だった。食べることは重要だったが、寮が廃止されると共に、賄も消えた。

人材難の時代に、オーナーは温故知新から、新しい答えを見つけ出そうとしている。

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🔗 元記事を読む(パチンコ日報)