「もっと出して」ではなかった。地方ホールが結婚式で知った常連客の本音

地方の低貸し中心のホールでは、単なる遊技場を超えた役割を担っていることがある。特に高齢化が進む地域では、ホールが地域コミュニティの場として機能しているケースも珍しくない。

とある地方ホールで、そんなことを改めて実感する出来事があった。

常連客同士が結婚することになったのだ。

新郎は70代、新婦は50代。お互い再婚同士。ホールで顔を合わせるうちに親しくなり、人生を共に歩むことになった。

会場となったのは地元の公民館。決して派手ではないが、地域に根差した温かい結婚式だった。

出会いのきっかけとなったホールを代表して、店長にも招待状が届いた。

オーナーに報告すると返ってきた言葉は意外なほど気前がよかった。

「会社の経費で祝儀を出す。ちゃんと出席してこい」

利益や売り上げだけでは測れない価値がある。オーナーもそれを理解していた。

当日は新婦の娘さん(元AKB)のほか、ホールの常連客たち35人が2人の門出を祝った。

会費5000円制だった。

単なる結婚式ではない。ホールのコミュニティがそのまま集まったような空間だった。

新郎は地元では知られた存在でもあった。

大規模農家を経営し、耕作放棄地を買い取って規模を拡大。従業員も雇っている。

ホールでも人気者で、「あの人の祝いなら行く」と35人もの常連客が集まった。

宴席では酒も入り、自然と会話が弾んだ。

そこで店長は、せっかくの機会とばかりに常連客に聞いて回った。

「ホールに望むことはありますか」

本音が聞ける場だ。

当然、返ってくる答えは予想していた。
「もっと出してほしい」

パチンコ店なら真っ先に出る要望だと思っていた。
だが、違った。

「3人掛けのソファー、あれ使いにくい」

ホールには休憩スペースに3人掛けソファーが置かれていた。

しかし両端に人が座ると、真ん中には座りづらい。

「イスとテーブルに変えてほしい」

なるほど、と思った。

続いてこんな声も出た。

「トイレットペーパーは二重じゃない方がいい」
さらに「ウォシュレットは前の人が使った後が気になる」

衛生面への感覚は人それぞれだ。

簡単に解決できない問題もある。

そして最後に出たのが、意外なほど現実的な要望だった。

「駐輪場に屋根を付けてほしい」

雨の日、自転車のサドルが濡れる。

高齢客が多い地域では、自転車は重要な移動手段だ。

店長はさっそく見積もりを取った。

費用は80万円。
決して安くはない。
しかし、オーナーは即決した。
「やろう」

理由は明確だった。
こうした細かな不満を一つひとつ改善することが、結果として客離れを防ぐことにつながる。

パチンコ業界はどうしても「出玉」「機械」「イベント」に目が向きがちだ。

しかし、地域密着型のホールほど、実は別のところに勝負どころがある。

それが座りやすい椅子だったり、濡れない駐輪場だったり、居心地のいい空間だったりする。

そして人とのつながりだ。

今回の結婚式で店長が知ったのは、客は必ずしも「もっと勝たせろ」と言っているわけではない、という現実だった。

ホールが地域の居場所になる。

その積み重ねこそが、高齢化社会を生き残るヒントなのかも知れない。

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🔗 元記事を読む(パチンコ日報)